当山ではこの度、コロナ禍で失った元気を多くの方に取り戻していただくことを祈念しまして、「特別祈祷酒ながいづみ」という清酒を企画し、ご縁あって嘉美心酒造株式会社様(浅口市寄島)に数量限定で製造いただきました。岡山白桃酵母を使用したフルーティーな香りに生酒特有のフレッシュな甘みと酸味が絶妙な純米酒です。ひとえに、令和6年お正月、コロナによる行動制限のない新しい一年のはじまりに、多くの方にこのお酒を酌み交わしながら、笑顔で、心豊かな時間を過ごしていただきたいと願っております。
そのような祈りを込めて、本年11 月4 日の当酒初搾りの際に私が蔵へ出向いてご祈祷を行ったほか、冬至である 12 月 22 日には当山本堂に御供し、本尊薬師瑠璃光如来の御前にて皆様のご多幸を祈る法会を奉修いたしました。
同法会を終えてようやく皆様にお届けすることができる運びとなったわけですが、令和6年1月8日奉修予定の「大般若法会」のご祈祷札をお申込みのお方には、今回に限り特別に当酒を贈呈させていただきます。
また、当山の目の前に位置する酒ショップ山本様のほか、岡山天満屋様、倉敷天満屋様等にて購入することもできますので、どうか多くの御方にお求めいただければ幸いです。 一本(4合瓶)1,760円(税込)
~当酒のコンセプトと込められた願い~
「人が人に会うことができない」という3 年間におよぶコロナ禍によって、多くの人々が活動を自粛し、子どもや孫に会えないなどの寂しい想いをしてきました。しかし、ようやくこの長いトンネルのような時間をくぐり抜け、令和 6 年は久しぶりに行動制限のないお正月を迎えます。どうか多くのご家庭で、ご家族、ご親族らとともに新年の夜明け、並びに「コロナ禍の夜明け」を祝い、当酒を酌み交わしながら大切な人に会うことの喜びや食卓を囲む幸せを一層に感じてもらいたいと願っております。またそれは、社会が再び元気を取り戻していく上で、とても大切な時間となるはずです。
補 足 ~ 清酒と仏教について ~
お酒といえば仏教ではタブーであるようなイメージがあるかと思いますが、清酒の歴史を見ていくと実は仏教とともにあるということをご存じでしょうか。奈良にある菩提山正歴寺は「清酒発祥の地」として知られ、室町時代に近代醸造法の基礎となる酒造技術を確立し、現在の清酒造りの原点ともなっている寺院です。正歴寺に限らず、様々な寺院で造られた清酒は「僧坊酒」と呼ばれ、当時それらは大変な人気を誇り、例えば大阪河内長野にある天野山金剛寺で造られた天野酒は大名たちが愛飲したと伝わっています。また、聖天などの天部の仏には清酒を供えることが定められているなど、現代の仏教儀礼においてもお酒はタブーというわけではありません。それらは千年以上におよぶ神仏習合の時代に培われた文化であり、我が国ならでは奥深く多様な歴史そのものでもありましょう。
清酒発祥の地 | 菩提山真言宗 大本山 正暦寺 (shoryakuji.jp)
なお、そのような日本酒の歴史については、12月18日に日本酒ライターの市田真紀さんにお越しいただき、「寺子屋文化講座vol.43」として詳しくお話しいただいた次第です。
最後に、本尊薬師如来の瑠璃光浄土、およびコロナからの夜明けをイメージした当酒のラベルデザインについてですが、株式会社cifaka(北区石関町)の有松歩美さん(檀徒)に作成を依頼をし、私や総代様方とも何度も何度も検討を重ねて完成に至ったものとなっています。
特別祈祷酒「ながいづみ」 概要
純米吟醸生原酒 岡山白桃酵母使用 アルコール分16.5度
製造者 嘉美心酒造㈱ 岡山県浅口市寄島町7500-2
原材料 米(国産)、米こうじ(国産米)
精米歩合58% 内容量720㎖ 価格1,760円(税込)