新年あけましておめでとうございます。
本年は巳年でございます。
蛇といえば、苦手な人も多い一方で、古来より世界中で信仰されてきた存在です。
蛇は手足がなく、鱗をまとってはニョロニョロと動き、舌をペロペロする姿がどうも気持ち悪い、というのは我々人間、霊長類が進化の過程で持つようになった本能なのだそうですが、その畏怖心こそが蛇を聖なる存在とし、我が国においても「神の遣い」として信仰してきた大きな理由です。それはまた、「自然」というものに対して、その恵みを享受しつつも、ときにもたらされる天災への危機感であり、同時に人間の傲慢さに対する慎み、自制心とも言えるでしょう。

さて当山では、昨日の令和7年元旦17時30分より、昨年同日に起きた「令和6年能登半島地震」一周忌に当たり、犠牲物故者追悼の法要を奉修し、併せて被災者皆様の安寧と能登地方の早期復興を至心にお祈りさせていただきました。冒頭に「新年あけましておめでとうございます」と記したものの、能登の人々のことを想いますと、あまりめでたいという気持ちにはなれない本年の正月でございます。大切な方を亡くされた人々の悲しみ、発災から一年経っても不自由な暮らしを続けられている能登の多くの人々の努力を想い、ただただ手を合わせる次第です。被災者皆様を心より応援しております。
本年はまた、今月17日に「平成7年 阪神淡路大震災」より30周年忌、さらに6月29日には「昭和20年 岡山空襲」より80周年忌となります。いずれも当山にて追悼会を奉修させていただく予定です。
また世界に目を向けてみますと、現在もウクライナや中東では武力衝突が続いており、悲しみは増えるばかりです。我が国が位置する東アジアも情勢不安が広がっています。
我が国自身も、物価高騰や長引く経済停滞のほか、コミュニティの衰退、人間関係の希薄化などによって、生きづらく、悲しい思いをする人々が増えているように感じております。
今、お寺に出来ることは何か?と様々に思いめぐらせながら、試行錯誤しながらの私ですが、何より一番は檀信徒各家各人をはじめ、地域の人々、お寺に関係されるすべての皆様と心通わせ、お寺が皆様の心のよりどころとなることが大切だと考えております。本年も様々にお寺行事を開催するほか、至心に檀務を勤めて参りたいと存じます。
来週1月8日には、当山本尊薬師如来の新年最初のご縁日ということで、毎年恒例の「大般若法会」を奉修しますので、ぜひ多くの方々にご参拝いただければ幸いです。
なお、祈祷札のお申込みは、準備の都合上、前日(1/7)までにお願いいたします。

最後になりましたが、どうか皆様が笑顔で心豊かな一年をお過ごしいただけるようお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
本年もよろしくお願いいたします。
令和7年正月二日
龍門拝