5月30日(土)、当山名誉住職宮本光研が代表を務める「おかやま宗教者九条の会」主催にて、戦場ジャーナリスト志葉玲さんの講演会を、岡山シティミュージアム4階講義室(シアター)にて開催し、73名が参加されました。
志葉さんは、イラク戦争下において現地を取材され、米軍にスパイ容疑で拘束されるなどの危険に遭いながらも、貴重な情報を記録されているジャーナリストで、今年起こったISILによる後藤さんと湯川さん拘束殺害事件の背景や、日本国憲法9条の意義についてお話をくださいました。
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ただいま国会では所謂「安保関連法案」が審議されていますが、その中で、「集団的自衛権は、新三要件を満たす場合に限って行使される」と説明されます。しかし志葉さんの話を聞くと、むしろ集団的自衛権を持つことそのものが、我が国の存立が脅かし、国民の生命、幸福追求の権利を奪わってしまう可能性が大ではないか!と感じずにはいられません。
今回の安保関連法案は、国際平和を支援するためのものであり、その手段として主に米国軍を後方支援することが想定されていますが、先ず「米国軍の軍事行動そのものが国際的な平和構築への建設的な方法ではない」いうことを指摘しておかなければいけません。
「国際平和のため!」と言って米国軍がこれまでに行ってきた各軍事行動(ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争、等)によって平和がもたらされたか、というとそうではありません。むしろ国際社会をより不安定にしていると言わざるを得ません。それらの軍事行動は、攻撃を受けた国に多くの犠牲者、難民、貧困、等を産んでしまうことはもとより、攻撃を行った米国軍自身にも多くの不幸をもたらしています(PTSD等によって、武力行動での犠牲者より多くの自殺者が出ており、一日に20人以上という凄まじいペースで、元イラク派遣兵が自ら死を選ばれているそうです)。そして、米国を中心とする欧米有志連合が「敵」と設定し、その掃討のために空爆を行っているISIL(いわゆるイスラム国)は、米国軍が行ったイラク戦争の怨念によって生まれたテロリスト集団であることを私たちは強く認識する必要があります。その結果、米国軍を支援した各国で次々にテロ行為が増加していることはご承知の通りです。
このことはつまり、武力によって平和を作るという論理が破綻していることの証明なんです。
日本は、70年前の戦争によってそのことを深く深く自覚し、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する(憲法第9条1項)」とともに、その実行によって今日まで自国の平和のみならず、国際平和構築に大きな貢献を果たしてきました。だからこそ、日本は国際社会から高い評価と尊敬を集め、テロの脅威にさらされることなく、「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占め(日本国憲法前文)」てきたのです。
しかし日本が今後、上記のような武力行動を続けている米国軍を、いくら同盟国とは言え後方支援することは、日本をテロの脅威にさらすだけでなく、国際平和構築を阻害することを意味するわけです。日本国憲法の前文には、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」とありますが、この精神から言いますと、今回の安保関連法案は違憲立法であると言わざるを得ません。