一年の終わりに

平成から令和となった一年が終わろうとしています。

当山にとって本年は、正月に「本堂修繕落慶法会」、五月には本堂修繕慶讃「中興六十周年記念大法会」という大きな法会を二つ奉修し、寺史に残る一年となりました。さらには今秋、過去に境内地であった隣地が当山に帰って来るというご縁にも恵まれました。ひとえに、檀信徒皆様のお力添えの賜物でございます。深く感謝を申し上げます。

わたし個人としては、当山住職を仰せつかり十年の節目の年でもありました。この十年間、当然に様々な変化がありましたのはまさに諸行無常の所以ですが、しかし身体を壊すこともなく、事故等にも遭わず、仏法に学び、人に恵まれ、日々の勤めに集中できたことはいかなるものにも代えがたいことでして、有難い限りでございます。今後も引き続き精進いたしますので、どうぞよろしくお願い致します。

本日は大晦日。当山では午後十一時より本堂で勤行、同四十五分頃より除夜の鐘を突きます。あたたかいお接待もございますので、お近くの方はどうぞお参り下さい。

また、新年正月八日には、毎年恒例の初薬師「大般若会」を行います。来る一年の安寧を祈願する法会です。檀信徒皆さまには、お繰り合わせお参りいただければ幸いに存じます。

どうぞ皆様、良き新年をお迎え下さいませ。

追悼 中村哲先生

当方応接間に飾ってある色紙です。

平成20年2月16日、ペシャワール会さん主催で中村哲先生による「本当のアフガニスタン」と題する講演会を当方で開催したことがあり、そのときに書いていたいただいたものです。

先生が描かれたのはパキスタンにそびえるティリチミール山。”闇の王”と和訳されていますが、エベレストより難しいと言われるほど登頂は危険なのだそうです。

先生は登山がお好きで、登山隊帯同ドクターとしてティリチミールに挑まれたことがあるようですが、先生が日頃の活動の中で対峙されている巨大な何かを、このティリチミールと形容されたのかなと考えています。山頂には雲と言うか霧と言うか、靄のような何かがかかっていて判然としない様子を銀色マーカーで描き加えられています。それは、長年にわたり生死と隣り合わせの現場に立ち続けられた先生にしか見えない風景であり、葛藤なのでしょう。

中村哲先生に心から哀悼の誠を捧げます。

合掌

寺子屋文化講座vol.27「薬との上手なつきあい方」

11月27日、「長泉寺寺子屋文化講座vol.27」を開催しました(参加35名)。

今回のテーマは、「薬」です。

当山は、永正6(1509)年に、薬草園の中に薬師堂を建立したことがその起源だと言われていますが、それから500年経った今、当山周辺には病院、歯科医院、薬局と、本尊薬師如来とのご縁を感じざるを得ないような環境となっています。そこで今回は、当山門前のサンヨー薬局様より薬剤師の渡辺規与美先生にお越しいただき、「薬との上手なつきあい方」というテーマのもと、薬の飲み合わせやその効用、副作用等についてお話をいただきました。

参加された多くの皆様にとって、薬は日常生活に欠かせないものであろうかと思いますが、しかし、なぜ食前(あるいは食後)に飲むのか?飲み忘れたらどうしたらいいのか?など、基礎的な知識を持たずに服用している方も多く、その意味では今回の講座が大変有意義なものとなったのではないかと存じます。